今年の夏は甲府にいる時間が長い。
なぜって、東京の家にはクーラーは愚か網戸もないから。
それで甲府に住んでみてわかったことは、
生き物がたくさんいること。
もともと子供の頃に虫が好きでよく昆虫採集をしていたのだが、
いまは3歳の息子とカエルとカマキリとバッタとカナブンとカブトムシを飼っている。
息子は臆病なので虫かごの掃除を始め餌やりまで全部を僕がやっている。
カブトムシは買ってきたゼリーの餌をやっていればいいのだが、
カエル、カマキリは生きた餌を採ってきて与えないといけない。
これが面倒くさいのだが生来虫好きなので、
ついつい庭でバッタ探しに一時間かけてしまうこともある。
もちろんやらなくてはいけない仕事があるのだが、ついついやってしまうのである。
カエルにはミミズを与えることもあるのだが、
ミドリガエルの体の大きさに対してミミズが大きすぎる。
そんな場合は割り箸でミミズをちょん切る。
昔はなんとも思わなかったことでも、
大人になると気持ち悪くてちょっと残酷で良心が痛む。
やりたくないことだ。
試しに息子に教えると嬉しそうにミミズをちょん切った。
カエル、ミミズ、その他昆虫に触る事もできないのにこれはできるんだな、と思った。
まだ小さなカマキリには1cmくらいのバッタを捕まえて与えている。
カマキリは強くて大きくてムシャムシャ生きた虫を食べるのがワイルドでおもしろくて少しグロテスクで、
一番好きな昆虫だった。
でもいまは餌にされる生き物の気持ちになってしまい、素直に好きになれない。
むしろカマキリよりバッタの方がいまは心惹かれる。
形態がデザイン的でかっこよく、ピョンっと跳ねる様は機能的かつ可愛らしい。
顔がユニークで生活習慣も平和的。
だから本心ではカマキリにバッタをやりたくない。
自分が親になって、そして生き物が豊富な甲府に住むようになったため、
子供の頃と今の自分の心の変化がみてとれる。
息子に問いかけてるようで実は昔の自分に話している。
そんなことを考えながらバッタを追いかけまわしている夏。