東京の大学で知り合ったSTは山梨出身で、
僕が嫁さんの実家のある甲府に行くとたまに会う。
彼の背中にもくもくといばった雨雲をまとうアルプスの山脈が見える。
僕にとってそんな景色のなかにSTがいるのは違和感を覚えるが、
もしかしたら彼にとって東京の生活にこそ違和感があったのかもしれない。
そしてそれよりも甲府イーオン駐車場に僕がいることこそ違和感があるだろう。
過去を共にし、いま現在ここで交わって、そして将来何回かまたどこかで交わる。
親や親戚以外で自分を見護っていてくれるひとたち。